インディアスの破壊についての簡潔な報告

 一千万人とも二千万人ともいわれるインディオを殺戮したスペイン人の無法者たちを本国の王に告発した書。

著者は元開拓者の宣教師。

残虐な描写が延々と続く。

もっとも記憶に残ったところを引用してみる。

この無法者がいつも用いた手口は以下のとおりである。彼はどこかの村や地方を攻撃しに行く時、同士討ちをさせるために、すでに降伏してスペイン人に従っていたインディオをできるだけ大勢、連行した。そして、彼は連行したおよそ一万人か二万人のインディオには食事など与えず、その代わり、彼ら自身が捕えた敵側のインディオを食するのを許した。そういうわけで、その無法者の陣営には、人肉解体処理場のようなものがあり、そこでは、彼の立ち会いのもと、子どもは殺されて焼かれ、また、大人は殺されて、手足を切断された。人体のなかで、手足がもっとも美味だと考えられていたからである。別の地域に住むインディオはみな、人間業とは思えないその非道な行為を耳にして、あまりの恐ろしさに、どこに身を隠せばいいのか分からなくなった。」

法と秩序の大切さがよくわかる。

この400年後に西洋人は太平洋を越え日本に原爆を落とすことになる、と西洋人東漸の発端とも見える。

インディアスの破壊についての簡潔な報告 (岩波文庫)

インディアスの破壊についての簡潔な報告 (岩波文庫)